組合運営Q&A-事業-


1.定款記載事業を実施しない場合の処理について

 

 

 定款に以下の規定をしている協同組合について

   第7条本組合は第1条の目的を達成するため次の事業を行う。

1 .組合員の取扱品の共同購買、共同保管及び共同運送

2 .組合員に対する事業資金の貸付(手形の割引を含む)及び組合員のためにするその借入

 

47条総会においては、法またはこの定款で定めるもののほか、次の事項を議決する。

1 .借入金残高の最高限度

2 .1組合員に対する貸付け(手形の割引を含む)または1組合員のためにする債務保証の残高の最高限度

Q1 .定款第7条第2号の事業は当分の間実施しないこととして、総会に対し定款第47条第1号及び2号の議決の審議を求めず、総会に出席した組合員もこれに関する議決を要求しなかったために、総会がこれに関する一切の議決をせずに終了したときには、理事は職務懈怠の責を負うべきでしようか?

Q2 .定款に記載してある事業を-定期間実施しないときは、必ず総会に諮り定款の-部を改正して、その該当条項は削除しなければならないでしようか?

A1 .ある事業年度において組合が行おうとする事業については、事業計画書及び収支予算書に記載され、総会の議決を経なければならないことになっています(中協法第51条第1項第3)ので、この議決を経ていない事業は、定款に記載されていても、当該事業年度においては、実施しないことになります。したがって、設問の事業資金の借入及び貸付事業については、その組合が当該事業年度においてこれを実施しないため、事業計画書及び収支予算書に記載されていないのであれば、借入金残高の最高限度、1組合員に対する貸付金額の最高限度等に関する議決を行わなかったとしても、理事の任務懈怠の責めを負うものではないと解されます。

 A2 .一定期間実施しない事業が、翌事業年度ないし近い将来において再開される見込みがある場合には、定款を改正して当該条項を削除することまでは必要ありません。

 

2.公平奉仕の原則の適用について

 

 Q. 一部の組合員のみに利用される組合事業を実施することは、公平奉仕の原則に反します

 

 A.組合が全ての組合員を対象とした共同事業を適切に実施している場一部の組合員を対象とした他の共同事業を行って

  いたとしても、その他の組合員を対象にした共同事業が別途行われる計画、仕組みとなっていれば、公平奉仕の原則に

  反しません。

  公平奉仕の原則は、個々の組合事業それぞれにおいて全ての組合員に対して利用されることまでを求める趣旨ではあり

  ません。

  以下のような場合には、いわゆる公平奉仕の原則(中協法第5条第2項、中団法第72)には反しません。

  

  ①  組合事業が現実に一部の組合員についてのみ利用されるのであっても、組合事業の利用の

   機会が公平に与えられるようになっている場合

  ② 組合事業の利用の機会が過渡的に一部の組合員についてのみ与えられているにすぎないとしても、将来的に他の

   組合員にも利用の機会が与えられる計画、仕組みとなっている場合

  ③   組合員の事業が有機的に連携している組合において、資材購入や研究開発等の組合事業一部の組合員についての

   み利用される場合においても、その効果が組合員事業の連携等を通じ究極的に他の組合員にも及ぶことが明らかであ

   る場合