組合運営Q&A-通則-


1.大規模組合と判断する時点について

 

 

Q.組合員数が1 .000人を超えて大規模組合と判断されるのは、どの時点ですか?

 

 

 A.組合の事業年度の開始日です。

 組合員数(連合会の場合は会員である組合の組合員の総数)が一定の規模( 1 ,000)を超える組合を「大規模組合」と呼ぶことがありますが、その基準は組合の事業年度開始の日において把握する必要があります。事業年度の開始の時点で1,000人を超えている場合は、次回の通常総会において、監事への業務監査権限の付与と員外監事規定の追加(定款変更)員外監事の選出が必要となります。

 

また、事業年度の途中で組合員が1,000人以下に減少した場合であっても、当該年度中は引き続き「大規模組合」に対する義務が課されるため、注意してください。

 

 

なお、共済事業を実施する組合は、事業年度中であっても、組合員数が1,000人を超えた時点で、「特定共済組合」となります。「特定共済組合」となった場合は、速やかに所管行政庁にその旨を届け出る必要があります。

2.小規模事業者の判断について

 

Q.設立途上の事業協同組合の設立同意者の中に、中協法第7条に規定する小規模事業者の範囲を超えた事業者が含まれていますが、組合員になれますか?

 

 A.規定上小規模事業者の範囲を超えたとしても実質的に小規模事業者であると認められるのであれば、組合員になれます。中協法に基づく事業協同組合の組合員となることのできる者は、小規模の事業者であるが、その規模の基準は中協法第7条に規定されているように、資本の額または出資の総額が3億円(小売業またはサービス業を主たる事業とする事業者については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業者については1億円)を超えない法人たる事業者、または常時使用する従業員の数が300(小売業を主たる事業とする事業者については50人、卸売業またはサービス業を主たる事業とする事業者については100)を超えない事業者となっています。

しかし、この基準を超える事業者であっても、実質的に小規模事業者であると認められれば組合員になることができます。したがって、設立途上の設立同意者については、その事業者の従業員数、資本の額または出資の総額並びに資本カ及び市場支配力等諸般の実情を勘案して発起人が小規模事業者と判断した場合には、いったん組合員たる地位を与え、組合設立後に公正取引委員会に届け出ることとなります。

 

この場合に公正取引委員会から実質的に小規模事業者でないと判断されるまではごその組合または組合員に対して特別の措置(独禁法の適用除外の否認、当該組合員の排除=脱退措置)がとられることはありません。

 

 

3.公正取引委員会への届出について

Q.中協法第7条第1項第]号に規定される中小企業者の規模を超え、数か所に支店をもつ石油販売業者が支店所在地に存在する組合に加入する場合、同法第7条第3項に規定される公正取引委員会への届出は、本店所在地の組合のみで良いですか?

  A.中協法第7条第3項に規定される届出義務は、組合に対して課せられたものであって、組合員が他の組合に  

   重複加入している場合でも、それぞれ加入している組合に届出義務があります。

 

 

 

4.賛助会員制度について

賛助会員制度の導入を検討している組合がありますが、次の点について教えてください。

Q 1 .賛助会員の資格に制限はありますか?

Q 2.賛助会員の組合事業利用は、員内利用扱いとなりますか?

 

   A1 .制限はありませんが、目的をよく見極める必要があります。事業協同組合定款参考例により、賛助会員制に関する規

   定が次のように位置づけられています。

 

 

(賛助会員)

55条 本組合は、本組合の趣旨に賛同し、本組合の事業の円滑な実施に協力しようとする者を賛助会員とすることが

     できる。ただし、賛助会員は、本組合において、法に定める組合員には該当しないものとする。

 

       2 賛助会員について必要な事項は、規約で定める。

 

この賛助会員制が定款例に位置づけられた趣旨は、組合が賛助会員制を活用して外部関係者を組織化することにより、その協力と理解を得るなど、最近特に重要性が高まっている組合と組合外部との交流・連携を促進しようというものであり、もつばら資金集めのためにこの制度を活用することはできません。

 

賛助会員の資格は、定款参考例には、「本組合の趣旨に賛同し、本組合の事業の円滑な実施に協力しようとする者」となっており、この ほか特に資格についての制限はありませんので、組合の実情に応じて定めることができますが、外部関係者を組織化することにより、その協力・理解関係の一層の増進に資するという賛助会員制の趣旨に留意し、その範囲を逸脱しないようにすることが肝要です。

 

 

   A2.賛助会員は法に定める組合員には該当しないことから、定款に定める組合事業を利用する場合は、員外利用に該当する

    ことになります。

    定款参考例にしたがい、賛助会員制を導入する場合は規約を設け、制度の内容を明確にしておくことが必  要です。

 

 

5.組合の政治的中立の解釈について

 

Q.中協法第5条第3項において規定する「組合は、特定の政党のために利用してはならない」とは、政治活動を一切禁止しているものと解釈するのですか?

 A . 中協法第5条は、中協法に基づいて設立される組合が備えていなければならない基準と運営上守るべき原則を規定したも

  ので、第1項で基準を、第2項及び第3項で原則を示しています。   

    本件の中協法第5条第3項「組合は、特定の政党のために利用してはならない」の規定は、「政治的中立の原則」と称される

  もので、中小企業者等が共同して事業を行う組織である組合は、経済団体という基本的性格を逸脱して政治団体化し、特定

  の政党の党利党略に利用されることは、組合の本来の目的からみて当然のこととして禁止しています。

 

   しかし、本規定は組合の外部勢力により、あるいは組合内部の少数者によって、組合が政治目的のために悪用されることを防止する趣旨であることから、総会等で特定候補者の支持を決議し、その者への投票を組合員に強制すること等を禁じているものと解されますので、組合の健全な発展を図るための国会等への建議、陳情等までも禁止する意味を持つものではありません。